嵯峨野に拡がる地上天国実現の願い
世界救世教を創始して「地上天国」の実現に生涯を捧げた岡田茂吉教祖。そのために取り組んだことは、まず地上に天国の雛型を建設することでした。
美しい自然環境と芸術空間との調和を願って、箱根には箱根美術館と神仙郷、熱海にはMOA美術館と瑞雲郷が、それぞれ聖地として造営されました。
岡田教祖は晩年には関西布教に力を注がれましたが、その折に嵯峨野の広沢池畔に新たな聖地の候補地を見出され、平安郷の基礎を定められました(昭和27年)。
その後、教祖が昇天してからも、国内外の信徒たちの奉仕活動による、平安郷の庭園整備が進み、今日では桜と紅葉の名園として知られるようになり、多くの人々に親しまれています。
平安郷整備の一環として「岡田茂吉記念館」が、平成27年4月に竣工しました。この記念館では、教祖の書画の展示をはじめ、平安郷庭園の四季の情景などを紹介しております。
心静かに自然美にふれるひととき
岡田茂吉記念館の建物は3棟からなり、大きな屋根と各棟を結ぶ周遊回廊を特徴とするシンプルな設計で建てられました。
その佇まいは、記念館を囲む庭園とともに嵯峨野の風景にとけ込み、展望棟2階からは、広沢池と愛宕山に連なる山々の眺望を楽しむことができます。
理想世界建設の情熱の一端を感じる
苦しみや悩みの渦中にある人々を救いたいという思いが強かった教祖は、自己の利益ばかりを求める世の風潮に警鐘を鳴らし、利他愛の心をもつ人々が一人でも増えることを願い続けました。
そして「私の仕事のなかで一番主力を注いでいるものは、紙へ文字を書くことである」「私が墨で紙へ文字を書くとその文字が生きて躍動する」と語り、理想世界建設を願いつつ、救いの心が込められた数多くの書画を遺されました。救いにかけられた情熱の一端を感じていただけたら幸いです。